人々の安全で快適な生活を守るために行う土木工事ですが、「建築とは違うの?」「土木工事ってどんな工事?」と思われている方もいらっしゃるでしょう。
そこで、土木工事とは何か、土木工事の種類について解説します。
土木工事とは
土木工事は建設工事のうち、建物を除いた工事全般を指します。
例えば道路や橋、トンネルの工事が土木工事に該当します。
土木工事の多くは社会インフラを整備する工事ですので、国や地方自治体などが多く発注しています。
土木工事業
土木工事業は建物以外の建設工事です。
土木は建設の中に含まれており、主に土石や木材を使って道路、橋、ダム、鉄道、空港などを建設します。
これ以外に施工の設計や測量なども行います。
土木工事や建物が建つ土地を造ったり、災害時に建物へ被害が及ばないようにするための重要な業務で、人々の生活に必要なインフラを作っている必要不可欠な工事です。
建築と土木の違い
建設工事の中には「土木工事」と「建設工事」があります。
土木工事は道路や橋、ダムなどを造り、建築工事ではビルや住宅、マンションを造ります。
つまり、建物を造る工事を「建築工事」、それ以外の構造物を造る工事は「土木工事」です。
土木工事の種類
道路工事
道路工事は主に移動を効率化させるために行われます。
アスファルト舗装、コンクリート舗装、特殊舗装などがあり、主に道路ではアスファルト舗装が用いられます。
アスファルト舗装は下から順番に路床、下層、上層、基層、表層という順番で成り立っており、表層でかかる荷重を下の層へ荷重分散して荷重を与えていく構造です。
道路改良工事、道路構造物工事、道路築造工事、道路開設工事に分けられます。
河川・海岸工事
主に河川や海岸で水害を防ぐ為に行う工事です。
河川工事は川が大雨による氾濫を未然に防ぐために堤防の設置や強化、河川の掘削などを行います。
橋梁工事
道路や鉄道で山や川などをスムーズに横断するために行います。
上部構造と下部構造に分かれているのが一般的で、上部構造は床構造と主構造から成っており、下部構造は上部構造を支えて荷重を地盤に伝達する橋台と橋脚、それらを支える基礎から成っています。
PC橋梁工事、PCロックシェード橋梁工事、コンクリート構造物での橋台工事、橋脚工事に分けられます。
トンネル工事
地中や水中、山の中に道路や鉄道、上下水道、ガス管等を設置するために行います。
掘削した壁面に矢板や鉄板をあてがい、支保工という支柱で支え、内側をコンクリートで固める「巻き立て」で仕上げます。
トンネル本体工事、シールド工事、推進工事に分けられます。
ダム建設工事(砂防ダム工事、貯水池ダム工事)
ダムは川や谷を包囲または横断して造られる土木構造物で、コンクリートや土砂、岩石などによって築かれます。
大規模な工事になるため、ダム建設の前に作業車両用の道路を作ります。
ダム建設工事、砂防ダム工事、貯水池ダム工事の3つがあります。
貯水池ダム工事は水力発電や水害のための発電、治水、利水を目的とした工事、砂防ダム建設は土砂を蓄え、土砂災害を未然に防ぐ等の目的で行われます。
空港建設工事
空港の新設や拡張、既存の施設の保守、補強等のために行われます。
土地区画整理工事
土地区画整理工事、土地造成工事、大規模な宅地造成工事の3種類があります。
道路新設等の土地区画整理事業により、建築物の移転等が発生する際に移転先の造成や道路、水路、電気、ガス等の整備のために行います。
造成の際に行う掘削工事は、表土掘削、大地掘削、岩石掘削、泥掘削などに分けられ、重機や手作業などで土地を改良します。
公道下の下水道工事
汚水処理、公共水域の環境保全のほか、局地的な大雨対策や再生水利用等のインフラ機能を保つために行います。
公道下等の下水道の配管工事、下水処理場自体の敷地造成工事、公道下等の上水道管埋設工事、自治体の公共事業の一般水道工事のうち、開削工事と小口径推進工事があります。
農業土木工事(灌漑水道工事、農用造成工事等)
区画整理及び排水改良を行い、農地の保全と生産性の向上を図る目的で行います。
灌漑水道工事や農用造成工事などがあります。
灌漑水道工事は農業のために河川や地下水から水を引く工事で、農用造成工事は土地を農用にする工事です。
砂防工事
土砂崩れ等の災害の防止や河川に土砂がたまることで起こる氾濫を防止する目的で行います。
さらに、森林災害などで荒れた土地を緑化する工事も砂防工事に含まれます。
土石流などで荒廃した場所を安全な公園などに変える工事も砂防工事です。
森林土木工事(治山工事、林道工事等)
土砂崩れ防止や林道を整備する目的で行い、官業のほかに民有森林土木工事があります。
河川工事、河川の道路構造物工事、治山、地滑り防止工事、土地区画整理工事、公道の下の下水工事、林業土木工事などがあります。
土木工事で使用される機械
土木工事ではさまざまな機械を用いて構造物を造り上げていきますが、主に以下のような建設機械を使います。
油圧ショベル
ブルドーザー
ホイールローダ
ダンプトラック
モータグレーダ
アスファルトフィニッシャー
クレーン
杭打機
ボーリングマシン
ロードローラー
選別機
粉砕機
穴掘建柱車
建設機械には汎用的に使用できる機械から用途が限定されている機械までさまざまな種類があります。
建設現場によって機械を選定して使用されます。
動力はディーゼルで動く種類が多くありますが、近年はハイブリッド車など環境に配慮した機械も登場しています。
油圧式のタイプが多く、油圧を使って重い車体を動かしたり、大きな力を使って作業をすることが可能です。
また建設機械の種類によって必要な免許の種類が異なります。
建設機械は免許や資格がないと操縦できない場合がありますので、使用する機械の免許を取得しておく必要があります。
土木工事は人々の生活を安全で快適にする工事
土木工事は道路や橋、ダムなど建物以外の工事です。
工事の内容・方法は多岐にわたり、人々が安全で快適に生活するためのインフラを造ります。
したがって官庁が発注する工事が大多数を占めています。
土木工事は私たちの生活を陰で支える工事であると言えるのではないでしょうか。