土木工事の多くはインフラのための公共事業であり、人々の生活に欠かせないものです。
とはいえ、土木工事の内容がいまいち分からないという方もいらっしゃるでしょう。
そこで、土木工事全体の流れと、公共工事の入札の流れを解説します。
土木工事の流れ
土木工事は大きく
・現地調査
・プランの策定
・実施計画
・工事開始
・工事完了
といった流れで進めます。
現地調査
工事は現地調査をしなければ正確な作業計画や見積もりを出すことができません。
道路状況や、条例、ライフラインなど、多角的に調査を行います。
現地調査の結果をもとに、予算を算出し、見積もりを発注者に提示します。
プランの策定
現地調査の結果と発注者の要望を踏まえて工事プランを立てます。
ざっくりとプランを立てたら、予算案と基本計画案を作成し、発注者と打ち合わせしながら内容をすり合わせていきます。
実施計画
発注者と業者が納得いくプランが出来上がったら具体的な実施計画を設計していきます。
実施計画の際は測量、現地詳細調査、類似施工例の視察、資料収集、法令調査をしなければなりません。
調査内容をもとに基本計画案を見直し、工事経費積算、実施計画を作成します。
実施計画を作成したあとは、材料の発注など、工事の準備を行います。
準備
工事前はさまざまな準備が必要です。
まず、工事の着手前に必要な書類関係は
・施工計画書
・材料承認願
・施工体制台帳・施工体系図
・設計照査
です。
さらに近隣への配慮として
・地元説明会
・通学路の確認
・現場周辺の学校への周知
・家屋調査
などを行います。
工事開始
実施計画を元に工事を開始します。
工事中は安全管理を徹底し、法令を守って工事を行います。
建設工事は事故や災害が起こる可能性がある危険な業務のため、法律等により様々なルールが設けられています。
発生した事故や災害の多くは法令を違反していたことが原因となっていますので、現場に関わるスタッフ全員がルールを守って作業をすることが大切です。
工事完了
行政の確認検査を受け、問題なければ発注者に完了を知らせ、引き渡しを行います。
引き渡し後、費用の支払いが行われます。
公共工事の入札の流れ
土木工事はインフラに関わる工事が多く、公共工事が多いのが特徴です。
公共工事を行う事業者を決定するための方法として入札が行われます。
ここからは実際に入札がどのような流れで行われるのかを解説します。
建設業許可の取得
建設業許可は本来、500万円以上の工事を行う場合に必要となるもので、500万円未満の工事を請ける場合はなくても問題ありません。
しかし、公共工事の入札に参加する場合、種類・規模に関わらず入札への参加資格として建設業許可を取得することが求められます。
比較的小規模な工事を中心に請け負ってきた事業者が入札に参加するためにはまず建設業許可を取得するところから始めることになります。
経営事項審査申請
経営事項審査は「経審」とも呼ばれ、入札に参加する会社は毎年決算終了後に経営事項審査を行う必要があります。
経審により、自治体など発注者は入札参加者のランク付けを行い、落札者を決める材料にします。
経営事項審査を受けるためには決算終了後、管轄の行政庁に決算変更届を提出し、さらに経営状況分析機関に決算変更届と財務諸表を送り財務状況を点数化してもらいます。
経営状況分析結果通知書が届いたら、通知書と経営規模等評価申請書を提出します。
入札参加者資格申請
工事を行う国や地方自治体に入札参加資格審査申請を行います。
申請期間は特に定められていないため、あらかじめ申請期間を調べておく必要があります。
公告
入札公告を確認し、入札条件、設計図書、特記仕様書などを確認します。
設計図書は都道府県の入札ページからダウンロードして閲覧することができます。
入札
公表されている設計図書には単価や金額は記載されていません。
入札を希望する会社は、自社で発注者の工事金額を積算します。
積算により工事の予定価格が計算できたら、いくらで入札するかを決定します。
低すぎると失格基準となり、高すぎると他の会社に落札されてしまいます。
入札書を提出して、失格基準以上で他社より安い価格で札入れしていれば落札となります。
総合評価方式の場合は価格以外の点数も含めた総合点で落札者を決定するため入札額が高い場合でも落札になる場合があります。
契約
落札決定後5日以内に工事契約を締結します。
その後、現場代理人、主任技術者の通知を行います。
契約約款第3条に定めた場合、契約締結後5日以内に各工種ごとに施工時期を明示した工程表と費用を明示した内訳書を作成して提出します。
土木工事の安全措置
土木工事は事故や災害を防ぐため、さまざまな面から安全に配慮して行う必要があります。
土木工事で行う安全措置は以下のようなものがあります。
工事区域の立ち入り防止措置
工事現場の周辺は必要に応じてシートや鋼板、ガードフェンス等を設置し、作業員と第三者に対して工事区域を明確にします。
工事区域には関係者以外の立ち入りを禁止してその旨を表示します。
また、立ち入り防止施設には子供等第三者が容易に侵入できない構造にしておくことも大切です。
強烈な騒音を発生する場所等での措置
強烈な騒音が発生する場所であることを明示し、作業員にも周知します。
強烈な騒音が発生する場所では耳栓等の保護具を使用します。
転倒災害の防止
建設業では転倒による労働災害が増加しています。
転倒による労働災害であっても重篤な災害となるケースもあり、各事業者においても転倒災害防止対策の徹底が求められます。
転倒予防のためには作業場所の整理整頓、清掃を徹底し、「ながら歩きの禁止」等のルールを設定することも大切です。
工事全体の流れを知っておきましょう
土木工事は人々が快適に暮らすためのインフラを整える工事が多くあります。
道路や土地造成だけでなく、橋梁、ダム、トンネルから空港建設や河川、海岸に至るまで、土木工事で行います。
土木工事に関わるスタッフは土木工事の流れを知っておくと現場作業をスムーズに進めることができます。
また、公共工事としての土木工事の受注方法を知っておくことも大切ですので、入札の流れや方法は大まかにでも把握しておくと良いでしょう。