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ー公共土木工事で行われる検査とは?公共工事における検査の意義と内容ー

土木工事をはじめとした公共工事では、目的物が契約図書通りに完成しているかを確認するために検査を行います。

しかし、具体的にどのような目的でどのような検査が行われているのかわからない、という方も多いでしょう。

 

この記事では、公共工事で行われる検査の目的や種類、検査の内容について解説します。

 

 

公共工事とは

 

公共工事とは、私たちのくらしを支えるインフラ整備をおもな目的とした工事で、国や都道府県、市町村などが、競争入札を実施して発注先を決める工事です。

 

民間工事では工期や発注金額は注文者と受注者で協議して決めたり、相見積もりにより比較検討して決定したりしますが、公共工事は自治体が指定した工事スケジュールと指定した材料で進めなければなりません。

 

 

公共工事の種類

 

公共工事は大きく「土木工事」「建築工事」「管工事」「電気工事」「造園工事」の5種類に区分できます。

 

 

土木工事

 

土木工事は建物を除いた建設工事で、道路や橋、下水道の配管工事などが該当します。

おもに地面から下を担当する工事で、基礎工事、造成工事、外構工事に分けられます。

 

 

建築工事

 

建築工事は建物を造る工事です。

土木工事で整えた土地の上にマンションやビル、商業施設、工場など、建物本体を建設します。

 

 

管工事

 

管工事は給排水工事、衛生設備工事、ダクト工事、空調設備工事、ガス管配管工事などが該当し、水や電気、ガスなどを利用できるようにする工事です。

 

 

電気工事

 

電気工事は送電設備の設置やメンテナンス、配線工事などです。

建物内の電気だけでなく、電線を引く工事や鉄道電気工事など、私たちの生活を便利にするためのさまざまな工事があります。

 

 

造園工事

 

造園工事は公園や広場の植栽を整備する工事です。

近年は街を緑化する動きが盛んになっており、公共工事による造園工事が増えています。

 

 

公共工事における検査の意義

 

土木工事などの公共工事はそのほとんどが請負工事として発注されています。

発注者(市区町村)は道路、下水道、橋などの目的物が完成したら工事目的物を引き取ります。

このとき発注者は、請負代金の支払い前に目的物が契約通りに完成しているのかを確認するのです。

 

その際に発注者は、工事を発注したときに明示した工事目的物の出来形基準、品質管理基準などに基づいて検査を行います。

その検査時に行うのが工事成績評定です。検査結果は、今後の工事発注の際の参考になります。また、受注者に成績評定を通知することで、受注者の技術的な指導に役立たせています。

 

検査を通じて受注者に適正な技術的指導・教育を行うことにより、受注者の技術力の向上をはかり、さらには業界全体の技術レベルのアップをはかっているのです。

 

 

公共工事の検査の目的

 

公共工事の検査の目的については地方自治法、会計法で次のように規定されています。

 

地方自治法第234条の2

 

地方自治法第234条の2では、

 

「普通地方公共団体が工事若しくは製造その他についての請負契約または物件の買入れその他の契約を締結した場合においては、当該普通地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認をするために必要な監督または検査をしなければならない。」

 

と記載されており、契約の適正な履行と代金支払いの完了を確認するために必要な監督と検査を義務付けています。

 

 

会計法第29条の11第2項

 

会計法第29条の11第2項では、給付完了を確認するための検査について次のように規定しています。

 

契約担当官等は、「請負契約または物件の買い入れその他の契約については、政令の定めるところにより、自らまたは補助者に命じて、その受ける給付の完了の確認をするために必要な検査をしなければならない」

 

つまり、工事目的物が契約図書通りに完成していることを検査で確認し、発注者として工事目的物の引き渡しを受け、その代金を支払うことを定めています。

 

 

会計法に基づく検査と技術検査

 

公共工事の検査は会計法に基づく検査と技術検査の2つがあります。

 

・会計法に基づく検査は、工事目的物が契約図書に定められた出来形と品質を確保しており、引き渡し、支払いが可能であることの確認を行う検査です。

・技術検査は、工事成績評定により請負者の適切な選定と指導育成、技術水準の向上を目的に行う検査です。

 

検査の方法はどちらも「土木工事検査技術基準」に基づいて行われます。

 

 

工事検査の種類

 

工事検査の種類は、土木工事の工程や検査の目的により以下のような種類があります。

 

・既済部分検査

・完済部分検査

・中間技術検査

・部分使用検査

・完成検査

・完成後検査

 

検査の内容によって会計法上の検査と技術検査のどちらか、もしくは両方が実施されます。

 

また、以下のようなケースもあります。

・完済部分検査のようにあらかじめ指定された部分の目的物が完成したら検査を実施し、その部分についての支払いが行われ、指定部分の引き渡しを行うケース。

・部分使用検査のように工事目的物の一部を発注者が使用する場合、一部分を検査後、工事完了前に発注者が目的物を使用するケース。

 

 

公共工事の検査の内容

 

公共工事の検査の流れや方法は自治体によって違いはあるものの、一般的には次のような内容で行われます。

 

書面検査

 

書面検査は以下の内容を検査します。

 

1.工事実施状況

2.出来形

3.品質

4.創意工夫・地域貢献・技術力

 

書面検査では設計図書と出来形管理に関する記録を比較し、定められた規格になっているか、資料に施工時に工夫や努力した点があるかなどについて確認が行われます。

 

また、1の「工事実施状況検査」では次の項目について実施状況が確認されます。

 

・契約書履行状況

・施工体制・現場組織

・工事状況

・工程管理

・安全管理

・法令遵守

 

 

現場検査

 

現場検査では出来形の検査を行います。

設計通りのサイズに出来上がっているか計測し、出来栄え等を確認するのです。

さらに、書面検査時に注意すべき点として挙げていたものに対して、現地で確認を行います。

 

 

公共工事の検査は必要に応じて実施される

 

土木工事をはじめとした公共工事は必要に応じたタイミングで実施されます。

 

検査は工事目的物が契約図書通りに行われているか、適切に支払いが実施されているかを確認するために重要なものです。

施工業者側も検査の目的と意義を理解しておく必要があります。