土木工事の現場ではさまざまな専門工事が行われており、一つひとつが法律に従って行われています。
高い専門知識が必要なため、資格が必要な仕事も少なくありません。
今回は、土木工事で役立つ資格をご紹介します。
土木工事の仕事内容
土木工事は生活に欠かせない道路や橋梁、トンネルなどの工事のほか、自然災害による被害を最小限に抑えるための河川工事などを行います。
工事の種類が多く、専門的な工事が多いです。代表的な工事は以下の通りです。
道路工事
トンネル工事
ダム建設工事
橋梁工事
河川工事
空港建設工事
土木工事はインフラを設置・メンテナンスする工事が多く、いずれも人々が安全に快適に生活できるようにするために重要な工事です。
これらの土木工事を行うには、現場、管理ともに専門知識が必要で、その知識と技術を認定するためにさまざまな資格が存在します。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は土木工事の現場監督になるために必要な国家資格です。
1級と2級の違い
土木施工管理技士には1級と2級があり、1級を取得すれば一定規模以上の土木工事を請け負うために企業が配置しなければならない「専任技術者」「監理技術者」になることができます。
一方、2級は試験が「土木」「鋼構造物塗装」「薬液注入」の3つに分かれており、合格した分野で「主任技術者」としての監理業務が行えます。
土木施工管理技士の試験概要
1級土木施工管理技士の第一次検定はマークシート方式となり、試験は「午前の部」と「午後の部」に分かれています。
【午前の部】
1.土木工学等(土木一般)
2.土木工学等(専門土木)
3.法規
【午後の部】
1.土木工学等(共通工学)
2.施工管理法
3.施工管理法(能力問題)
第二次検定は記述式となります。
施工管理法のなかから11問出題されるうち、7問を選択して解答します。
土木施工管理技士の難易度
1級土木施工管理技士の難易度は一次検定が合格率50~60%、二次検定が合格率30%前後です。
建設機械施工管理技士
建設機械施工管理技士は、建設現場で建設機械施工に関する運転操作や管理術者、主任技術者として現場の施工管理を行う責任者を認定する国家資格です。
建設機械施工管理技士の試験概要
1級建設機械施工管理技士の第一次検定はマークシート方式です。
1.土木工学
2.施工管理法
3.建設機械原動機
4.石油燃料
5.建設機械
6.建設機械施工法
7.法規
第二次検定は記述式の筆記試験と技術試験があります。
【筆記試験】
1.組合せ施工法
2.施工管理法
3.建設機械施工法
【実技試験】
以下の6種別のうち、2種別を選択して受験します。
第1種 トラクター系建設機械操作施工法
第2種 ショベル系建設機械操作施工法
第3種 モーター・グレーダー操作施工法
第4種 締め固め建設機械操作施工法
第5種 舗装用建設機械操作施工法
第6種 基礎工事用建設機械操作施工法
建設機械施工管理技士の難易度
1級建設機械施工管理技士の合格率は第一次検定が約20~25%、第二次検定が約63~84%となっています。
なお、試験内容が令和3年度から変わっていますので、今後合格率が変化する可能性があります。
技術士・技術士補
技術士は土木工事を含む各産業分野において、技術コンサルタントとして役割を果たせる最高レベルの知識・技術を持った人材であることを認定する資格です。
技術士補は技術士試験の一次試験を合格すると取得できます。
技術士の試験概要
技術士の第一次試験はマークシートによる択一方式です。
科目は以下の3科目です。
1.基礎科目
2.適性科目
3.専門科目
第二次試験は筆記試験と口頭試験があります。
筆記試験は論文形式で答案を作成する試験です。
総合技術監理部門とそれ以外の20部門で試験内容が異なります。
口頭試験は面談形式で行い、コミュニケーション、リーダーシップ、マネジメント能力や、技術者倫理、継続研鑽など、技術士としての適格性が見られます。
技術士の難易度
技術士第一次試験の合格率は30~50%です。
第二次試験の合格率は10%前後となり、第一次、第二次ともに難関資格であることがわかります。
コンクリート診断士
住宅や高層ビル、河川の護岸工事、防波堤・防潮堤などあらゆるところで使われるコンクリートの点検業務を行うために必要な資格です。
既存のコンクリートを対象として、その劣化の程度を診断し、維持管理の提案を行います。
コンクリート診断士の試験概要
試験形式は四肢択一式、〇×方式で、以下の8分野から出題されます。
1.コンクリート用材料の品質・試験・管理
2.コンクリートの配(調)合設計
3.コンクリートの試験
4.プラントの計画管理
5.コンクリートの製造・品質管理
6.コンクリートの施工
7.関係法令
8.その他
コンクリート診断士の難易度
コンクリートの診断士の合格率は15%前後です。
比較対象としてコンクリート技士の合格率は約30%となっており、コンクリート診断士はコンクリート技士よりも難易度の高い資格であるといえます。
下水道技術検定
下水道技術検定は、下水道の設計や工事技術に関する技術を認定する資格です。
下水道の設計、工事の監督管理及び維持管理において従事する技術者の実務経験短縮を目的としています。
第1種~3種まである
下水道技術認定は技術の内容に応じて、3つの区分があります。
1.下水道の計画設計を行うために必要とされる技術をはかる「第1種技術検定」
2.下水道の実施設計及び工事の監督管理を行うために必要とされる技術をはかる「第2種技術検定」
3.下水道(処理施設、ポンプ施設)の維持管理を行うために必要とされる技術をはかる「第3種技術検定」
第1種が最難関となっています。
下水道技術検定の試験概要
下水道技術検定は種別によって試験内容が異なります。
・第1種(多肢選択式・記述式)
1.下水道計画
2.下水道設計
3.施工管理法
4.下水処理
5.法規
・第2種(多肢選択式)
1.下水道設計
2.施工管理法
3.下水処理
4.法規
・第3種(多肢選択式)
1.下水処理
2.工場排水
3.運転管理
4.安全管理
5.法規
下水道技術検定の難易度
下水道技術検定の合格率は、第1種技術検定が約10~16%、第2種技術検定が約25~35%、第3種技術検定が約27~35%となっています。
土木工事の資格を取得すると会社にもメリットがある
土木工事にはご紹介したほかにもさまざまな資格があります。
工事に関連する資格を取得することは作業に携わる人だけでなく、会社にとっても仕事を任せられる人材が増え、大きなメリットになります。
資格の取得は土木工事の現場で活躍の幅が広がりますので、働きながら資格取得の準備を進めておくとキャリアアップに役立つでしょう。