土木工事現場では、工事の管理や安全確保といった、工事に付随した重要な作業が行われています。土木技術の進展により、建設方法も進化し続けています。現場では、天候の変動や作業の進捗状況に応じて、常に臨機応変な対応が求められます。このような土木工事現場の様子を、工事に携わらない人が知ることは難しいと思われるでしょう。この記事では、土木工事現場の工事の種類や作業内容について、くわしく解説します。
土木工事の現場について
土木工事がどのようなものか、そしてどのような人が工事に携わっているのかを見ていきましょう。
土木工事とは
土木工事とは、建築工事以外で行われるすべての工事のことをいいます。普段からよく見かける道路工事やトンネル工事も、土木工事の一つです。これらの土木工事を行っている光景は、目にすることが多いでしょう。
地面を扱うさまざまな工事が土木工事に含まれ、新たな施設を建設する工事や、既存の破損部分の修繕などが現場で進められています。
土木工事現場での土木作業員の役割
土木工事を成功させるためには、人の手が大切で欠かせないものとなっています。土木工事で中心的な役割を果たすのが、土木作業員です。彼らは現場で直接的に施工作業に携わり、現場監督である施工管理技士の指導のもと、安全を確保しながら作業を行います。
土木作業員が行う典型的な作業には、以下のものがあります。
・資材の搬入と配置
・掘削作業
・機械の操作
作業現場では重機や資材の取り扱いがあり、高い危険性がともないます。そのため、安全管理は厳しく、作業の改善や安全対策の見直しが常に行われています。効果的な安全管理には、高い集中力と作業員同士の良好な連携が必要であり、現場ではチームワークと安全確認が重視されています。
土木工事の種類
土木工事にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる現場があります。ここでは、代表的な土木工事の現場について解説します。
・道路工事
・トンネル工事
・ダム建設
・橋梁建設
・河川整備
道路工事
道路工事は車の運転や自転車、徒歩などで道路を利用する際に見かけることが多いでしょう。道路工事では、人や車が安全に移動できるようアスファルトやコンクリートで地面を整備し、交通の流れをスムーズにします。
道路工事には以下のような種類があり、工事の内容によって現場の状況が異なります。
・新設工事:新しい道路をつくる工事
・改良工事:既存の道路の安全性や利便性を高める工事
・維持・修繕工事:劣化した道路を修理する工事
新設と改良、維持・修繕のための工事が道路工事として行われ、どのタイプの工事が行われているのかを意識してみるのも良いでしょう。
トンネル工事
多くの人がトンネル工事のことを、単なる道路工事の延長と考えがちですが、工事の範囲は見えない場所など広範囲にわたることがあります。
見えないところで進むトンネル工事には、水道管の設置や電線を地下に埋設する工事、さらには光ファイバーやガス管を配管する工事など、さまざまな種類があります。これらの工事現場では、土砂や岩石を掘り出す掘削作業が主に行われています。
ダム建設
ダム建設は、コンクリートや土砂、岩石といった材料を大量に使う土木工事です。小規模なダムであっても、その工事の規模は大きく、多数の土木工事会社が共同で作業を進めることが一般的です。
ダムには以下の種類があります。
・利水ダム:貯水された水を農業用水、飲料水、発電などに利用
・砂防ダム:土砂の流出を防ぐための防災ダム
利水ダムの建設現場では、発電施設の建設が必要なため、電気工事業者などの専門業者との協力が不可欠です。また、砂防ダムの建設においては、コンクリートの打設に必要な型枠工事を行う型枠大工との連携も重要といえます。
橋梁工事
橋梁工事は、橋を構築するための土木工事であり、大規模な工事となります。工事現場は次のように分かれています。
・上部構造:車や人が通る部分で舗装も施工
・下部構造:上部構造の重さを支えて地盤に伝える部分
下部構造は橋台(はしだい)と橋脚(きょうきゃく)に細分化されます。橋台は、橋の端部を支える基底部であり、通称アバットとも呼ばれます。対照的に、橋脚(ピアとも言われる)は、橋の中間部の支柱を指します。 下部構造の工事には基礎工事が不可欠であり、多くの専門業者が協力して施工が進められます。
また、小規模な橋梁であっても、一つの土木工事業者だけで行われることは珍しいです。
河川工事
河川工事とは、基本的に堤防の建設や河床の深さ調整を行う掘削工事です。この工事には、堤防の新設や修繕、河川床の掘削などが含まれ、重機を使用して行われます。
また、時には水路の流れを一時的に変更することもあり、そのような工事も土木工事に含まれています。
土木工事現場で求められる人材
土木工事の現場では、基本的に意欲がある人が必要とされます。加えて、以下のような特性を持っていると、さらに良いと考えられています。
・モノ作りに情熱を持つ
・機械操作が得意
体力も重要ですが、最近の土木工事は機械化が進んでおり、機械操作が一般的になっています。多くの場合、資格取得のサポートを行う会社もあります。
さらに、土木分野での女性の活躍も増え、「土木系女子(ドボジョ)」という言葉も使われるようになりました。現場は女性にも対応しやすい環境へと進化しており、以前のような単なる力仕事だけでなく、機械操作など多様なスキルが求められるようになっています。
まとめ
かつて「3K(きつい・危険・汚い)」と称された土木工事も、最近では機械化の進展と安全対策の強化により、女性が働きやすい環境が整ってきました。土木工事は社会に不可欠な役割を果たしており、その重要性は今後も変わらず、日本全国で技術を展開し続けることでしょう。