人々が安全に快適に道路を通行するためには、適切な道路工事による整備が不可欠であり、道路工事には目的に応じてさまざまな種類があります。
ここでは、道路工事の種類や流れ、災害対策のために道路工事で行われている取り組みについて解説します。
路上工事とは
路上工事とは、土木工事のうち道路で行われる工事全般を指します。
路上工事には大きく分けて「道路工事」「占用工事」「承認工事」の3種類があります。
道路工事
道路工事とは、国や自治体などの道路管理者が行う土木工事のことです。
道路工事の種類は以下の3種類です。
・新設工事
・改良工事
・維持・修繕工事
占用工事
占用工事は、上下水道、ガス、電気、通信事業者などの占用事業者が、道路占用許可を得て行う土木工事のことです。
占用工事には以下の3種類があります。
・新設工事
・更新工事
・供給工事
承認工事
承認工事とは、主に個人の都合で道路管理者の承認を得て、個人が行う土木工事のことです。
個人の都合で歩道の段差を低くしたり、街路灯や並木の移設、ガードレールを撤去したりするなどの工事が該当します。
自費で土木工事を行うことから、自費工事と呼ばれることもあります。
道路工事の種類
上でもご紹介した通り、道路工事は大きく分けて「新設工事」「改良工事」「維持・修繕工事」の3種類があります。
それぞれ詳しくみていきたいと思います。
新設工事
新設工事は新しい道路を建設する工事のことです。
何もない状態から整備していきます。
通常のアスファルト舗装の場合、路床上に表層、基層、路盤で構成されます。
・表層
表層はアスファルト舗装で最上部に当たる表面の層です。
交通荷重を分散し、交通の安全性、快適性など、路面の機能を確保する役割があります。
・基層
基層は路盤の上にあり、路盤の不陸を整正し、表層に加わる荷重を均一に路盤に伝達する役割を持っています。
・路盤
路盤は路床の上に設けられ、表層と基層に均一に支持基盤を与えながら上層から伝えられた交通荷重を分散して路床に伝える役割があります。
通常、上層路盤と下層路盤の2つに分けられています。
国内には多くの道路があり、地域によっては交通量に対して道路が不足していることも多いため、新設工事は欠かせない土木工事です。
改良工事
改良工事とはその場所の状況に合わせて使いやすい道路に改良するための工事です。
主なものにバリアフリー化や拡張工事などの種類があります。
・バリアフリー工事
バリアフリー工事は道路の有効幅員を2m以上確保する、雨水を地下に浸透させる構造に改良するなどがあります。
また、歩道と車道の段差を小さくする、点字ブロックを設置するといった方法もあります。
・拡張工事
拡張工事は道路の幅員を広げたり、車線を増やしたりする工事です。
拡張工事を行うことで狭い道路が解消されて見通しが良くなり交通事故の発生リスクを減らせられ、車の流れがスムーズになり渋滞の解消効果が期待できます。
維持・修繕工事
維持・修繕工事とは、損傷した道路の修復工事を指します。
経年劣化して道路の損傷が激しくなると交通事故の発生リスクも高まります。
道路を使用する人が安全に通行できるよう、定期的な修繕工事は欠かせません。
道路にはアスファルト、コンクリート、ブロックなどの種類がありますが、日本の道路は多くがアスファルトを使用しています。
アスファルトはコンクリートに比べて耐用年数が短く、一定期間が経過したら修繕工事が必要です。
道路工事の流れ
普段道路を使用している人に見えているのは表面のアスファルトやコンクリートですが、道路は4種類の層で成り立ち、これらの層を土木工事で積み重ねて道路が出来上がっています。
道路の新設工事の流れは以下のようになります。
測量
土木工事を開始する前に、まずは現地調査をします。設計図が合っているかをチェックし、実際に測量して足りない情報を確認し、必要に応じて現場に目印を付けます。
路床工事
道路の基礎となる路床工事を行います。
路床は主に土でできており、厚さは約1mです。
重機を使って土をならし、ローラーの付いた重機で締め固めます。
路床はすべての道路の支持力の基になっているため、しっかりとした土木工事が必要です。
路盤工事
路床の上に砕石をまき、モーターグレーダーで敷きならしをしたのちローラー重機で締め固めます。
基層工事
基層工事ではアスファルトフィニッシャーを使って加熱したアスファルト混合物を路盤の上に敷きならします。
敷きならしたあと、ローラー重機で締め固めます。
表層工事
普段目にする表面の層を施工します。
基層工事で使用したアスファルトよりも密度の高いものを使用し、基層と同じように敷きならして締め固めて完成です。
各層をそれぞれしっかりと締め固めて平らにしているので、車両の重さに耐えられ、車や人が通行しやすい道路が出来上がります。
道路工事による災害対策
近年では地震や台風などさまざまな自然災害が増えており、災害への備えとして土木工事で災害対策も進められています。
地震への対策
道路の震災対策の1つとして、国が主体となって橋梁の耐震補強を行っています。
柱をコンクリートや鋼板で補強するほか、橋桁が落ちないように落橋防止装置の設置などが行われています。
また、火災発生時に延焼を防ぐため道幅の広い道路を整備することも土木工事による災害への備えです。
台風・豪雪でも道路の機能を保つ工夫
日本では台風が多く、近年では集中豪雨も多発しています。
そのため、豪雨から道路を守るための対策も進んでいます。
豪雨によって落石のおそれがある道路では防護柵を設置したり、落石防止用のネットの設置や斜面をコンクリートの枠で固定したりして対策します。
また、道路の冠水を防ぐため、道路の排水機能を強化しています。豪雪地帯では雪崩防止柵や地吹雪防止柵の設置を行ったり、流雪溝を設置して積もった雪を排除する取り組みも進んでいます。
道路工事には必要に応じてさまざまな種類がある
道路工事にはさまざまな種類があり、必要に応じた工事が行われています。
人々が安全にかつ快適に道路を使用するために条件に適した道路が土木工事により作られています。
また、近年の日本は地震や豪雨の被害が多いため、自然災害への対策も進んでいます。