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騒音規制法による特定建設作業とは?土木工事で実施している騒音対策


 

土木工事をはじめとした建設工事では大きな音が出る場合が多くあります。
そのため、大きな音が出る作業は「特定建設作業」に指定され、市町村に届け出が求められています。

 

ここでは、特定建設作業とは何か、また、土木工事業者が実施している騒音対策にはどのようなものがあるかについて解説します。

 

特定建設作業とは

特定建設作業とは、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音または振動が発生する作業です。

 

特定建設作業は政令により、作業開始日の7日前までに各市町村に届け出が必要です。
ただし、作業が1日で完了するものの届出は不要となります。

 

騒音規制法の特定建設作業

騒音規制法施行令では、以下の作業を「特定建設作業」としています。

 

・騒音(騒音規制法第2条、施行令第2条別表第2)

①くい打ち機、くい抜き機またはくい打ちくい抜き機を使用する作業
②びょう打ち機を使用する作業
③さく岩機を使用する作業
④空気圧縮機を使用する作業
⑤コンクリートプラントまたはアスファルトプラントを設けて行う作業
⑥バックホウを使用する作業
⑦トラクターショベルを使用する作業
⑧ブルドーザーを使用する作業

 

・振動(振動規制法第2条、施行令第2条別表第2)

①くい打ち機、くい抜き機またはくい打ちくい抜き機を使用する作業
②鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業
③舗装版破砕機を使用する作業
④ブレーカーを使用する作業

 

特定建設作業で規制される時間

土木工事をはじめとした建設作業では騒音対策のため、各都道府県が規制をしています。
また、作業時間などは環境大臣が定める規制基準を遵守する必要があります。

 

住宅地など「1号区域」での一般的な騒音対策としての規制内容は次のようになります。

・騒音の上限
85デジベル

 

・工事の時間帯
7:00~19:00までのうち、10時間以内

 

・工事の曜日
日曜・祝日の作業は禁止

 

・連続作業日数
6日まで

 

届出時に必要なもの

特定建設作業実施届
作業付近の見取り図
工事工程表

 

届け出は特定建設作業を伴う建設工事を施工しようとする元請業者が行います。

 

期間についてはあらかじめ雨天等を考慮し、余裕を持って設定し、届出を行います。

 

なお、やむを得ず届け出した期間内に終了できない場合には、実施期間終了日の翌日を開始日として新たに特定建設作業の届出を行います。

 

土木工事の騒音対策

住宅地や企業などの近くで土木工事を行う際には状況に応じて騒音対策が必要です。
騒音対策には次のようなものがあります。

 

防音シートで養生する

土木工事などの建設工事の騒音対策として広く利用されているのが防音シートです。
防音シートはあらゆる建物の壁や土地に設置可能で場所を選ばずに周辺へ音が漏れることを低減する働きがあります。

 

低コストで素材も数種類あり、目的や用途に合わせて選べます。

 

防音シートのメリットは軽量のため設置、撤去時の作業負担がかかりにくい、作業内部全体が自然採光により十分な明るさを確保できる、現場の美観性やイメージアップ、周辺景観との調和を図れるなどがあります。

 

防音パネルを使用する

防音パネルはパネルを組み合わせて壁のようにして防音対策ができます。

 

広い現場はもちろんのこと、道路工事などのスペースがない場所や一時的騒音が起こる場所のような、大掛かりな騒音対策が難しい場所でも簡単に設置でき、作業効率を落とすことなく騒音対策が可能になります。

 

見た目よりも軽く、フラットな表面が美観性を向上させます。
パネル上に企業のイメージやグラフィックを自由に表現できるのも防音パネルのメリットです。

 

低騒音の工法で作業する

土木工事では環境整備はもちろんのこと、作業方法にも工夫をして騒音対策をしています。

 

・重機の取り扱いに注意する

土木工事に欠かせない重機は大きな音が出ます。
しかし、取り扱い方1つで騒音や振動を軽減できます。

 

重機の移動が最小限になるように効率よく作業をする、重機に必要以上の負荷をかけないよう丁寧に取り扱う、掘削物等をトラックに積み込む際には落下高さを低くして騒音を軽減するなどの工夫により一定の効果が期待できます。

 

・建設機械のアタッチメントを変更する

建設機械のアタッチメントは金属のため、金属の資材や廃材を運ぶ際に大きな音が出てしまいがちです。

金属製の資材を運ぶときにはゴム製のアタッチメントに変更すると騒音対策ができます。

 

・大型車両に通行時には十分な配慮をする

大型の重機やトラックは移動の際にも大きな音と振動が発生します。
土木工事現場の場内を通行する際に時速10kmの最徐行をするだけでも振動・騒音の対策に有効です。

 

工事現場外の一般道を通行するときは、走行速度に注意し、幅員の広い道路を選ぶ、走行頻度について十分な検討を行う、往路と復路の経路を変えるなどの工夫をします。

 

作業時間に配慮する

上でもご紹介しましたが、特定建設作業では作業時間が規制されています。
定められた作業時間を守ることはもちろんのこと、土木工事業者は独自に作業時間に配慮しています。

 

実際の土木工事現場では特別な理由がない限り、8~9時に作業を開始して夕方には終了する、土曜日は作業を休むなど、業者側で配慮して騒音対策を行うことがほとんどです。

 

騒音が出る土木工事を実施する場合は周辺への説明も必要

土木工事の騒音による苦情には「騒音が出ると知らされていなかった」という内容も多くあります。

そのため、騒音が出る可能性のある工事では周辺住民への説明が必要です。

 

工事開始前に近隣への訪問や、挨拶状、チラシなどをポストに投函して工事に関してのお知らせや挨拶をします。

 

また、建設計画や工事の存在を周辺住民に周知するため、説明会を開催する場合もあります。

 

説明会では、工事後の設備の用途や工期、敷地の形態、広さなどの情報のほか、工事によって周囲に及ぼす可能性がある影響や危害防止策などの説明を行います。

 

土木工事では十分な騒音対策が必要

土木工事をはじめとした建設作業のなかで、特定建設作業に該当する作業は市町村に届け出たうえで、法令を遵守して騒音・振動に配慮する必要があります。

 

それだけでなく、土木工事業者は騒音対策をして周辺住民へ十分な配慮のうえ、工事を行うことが求められています。

 

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