土木工事では危険な作業も多いため、安全管理が求められます。
安全管理は建設現場において安全な作業環境を整えることを求められ、事前にどのような事故が起こりやすいのか想定し、危険を排除することが求められます。
この記事では、土木工事の安全管理のポイントを解説します。
施工管理の業務内容
土木工事の施工管理は工程管理や品質管理などを行う点ではほかの建築現場と同じですが、河川の氾濫や交通事故など、土木工事ならではのリスク管理を行う必要があります。
工程管理
計画通りに工事を進めるため、工事全体のスケジュールを把握し、必要に応じて調整を行います。
工程管理をしっかりと行うことで工期に余裕を持てたり、トラブルにスムーズに対応することができます。
工程管理をうまく行うためには分かりやすい工程表を活用することがポイントです。
品質管理
現場の建設物の強度やデザイン、寸法、材質、機能などの品質を管理します。
項目ごとに決められている品質試験により厳しいチェックを行いながら工程を進めます。
品質の証明のために現場の写真など、施工記録を残します。
原価管理
工事の原価(費用)を管理する業務です。
工事現場に必要な人件費、材料費などの原価計算を行い、工事の進捗と共に予算オーバーが起こらないように管理します。
勝手に材料を発注していた、作業員を勝手に追加していた、というトラブルを起こさないためにもきちんと現場の状況を把握する必要があります。
安全管理
工事現場で起こりうる事故を未然に防ぐための管理業務です。
建設現場では死亡事故など、重大な労働災害が起こりやすい為、慎重に管理をし、作業員全員に安全のルールを徹底しなければなりません。
現場の職人、作業員が安全に作業できるよう、手すり、消火設備などの設置と点検、ヒヤリ・ハット運動、注意喚起を行います。
建設現場安全管理14の指針
建設現場での労働災害防止のために厚生労働省では「元方事業者による建設現場安全管理指針」を14個の指針にまとめています。
・安全衛生管理計画の作成
・過度の重層請負の改善
・請負契約における労働災害防止対策の実施者およびその経費の負担者の明確化等
・元方事業者による関係請負人およびその労働者の把握等
・作業手順書の作成
・協議組織の設置・運営
・作業間の連絡および調整
・作業場所の巡視
・新規入場者教育
・新たに作業を行う関係請負人に対する措置
・作業開始前の安全衛生打ち合わせ
・安全施工サイクル活動の実施
・職長会の設置
・関係請負人が実施する事項
安全管理指針は現場の安全管理水準向上の促進を目的としています。
現場全体の安全管理水準が向上することで、労働災害の防止につながります。
土木工事の安全管理を徹底するために押さえておきたいポイント
大型重機を取り扱ったり高所作業を行う建設業では大きな事故や労働災害が起こる可能性があります。
死亡事故につながる事故が起こる可能性もあるため、施工管理の一環として徹底した安全管理が必要です。
天候・季節に応じた安全管理
土木工事など建設作業の多くは屋外作業となるため、天候や季節に応じた安全管理をする必要があります。
風雨、雪などの悪天候時は工事を中止し、やむを得ず作業を行う場合は足元の安全対策、資材や工具の飛散対策を実施します。
また、夏は熱中症対策を行うなどの対策も必要です。
KYK・KYTを推進する
KYKは「危険予知活動」、KYTは「危険予知トレーニング」のことです。
現場で行われる作業を確認し、どのような事故が起こる可能性があるのか、事故を防ぐためにはどこに気を付ければ良いのかを現場に関わる全員が話し合います。
事前に起こりうるリスクを把握しておくことで、現場でも危険を回避しやすくなります。
現場で作業をするスタッフが実践することに意味があるため、全員が集まる場で行います。
ヒヤリ・ハットの共有
「ヒヤリ・ハット」とは、実際には事故やミスにはならなかったものの、そうなってもおかしくはない事象のことです。
一歩間違えれば大事故やミスにつながる可能性があった事例を現場で報告・共有することでいつ、どのようなときに注意が必要なのか具体的なリスクが明確になります。
ヒヤリ・ハットの事例を報告しやすい職場環境にすることも大切ですので、ヒヤリ・ハットを悪いものととらえず、まずは報告・共有しやすい職場環境にすることが求められます。
安全管理を行うために必要なスキル
土木工事の安全管理を担当する人に求められるスキルや資格は以下のようなものです。
コミュニケーション能力
事故や労働災害を防止するためには作業員とのコミュニケーションが重要です。
作業員どうしの人間関係がうまく行かない場合、連絡が行き渡らずに大きなミスにつながる可能性があります。
また、管理者が作業員と密に連絡を取っておくことで現場の困りごとを解消できたり、小さな事故の芽を摘むことができます。
日頃からコミュニケーションをしっかりと取っておくことで、些細なことでも管理者に相談しやすくなり、ミスの発生を防ぐことが可能になります。
管理者はこまめにスタッフとコミュニケーションを取る能力が求められます。
安全管理業務に必要な資格
安全管理を含めた施工管理は「施工管理技士」という国家資格の取得が必要です。
土木工事の場合、「土木施工管理技士」の資格が必要となります。
土木施工管理技士には1級と2級があり、1級を取得すると特定建設業の「営業所ごとに置く専任の技術者」および現場に配置する「監理技術者」として認められます。
2級を取得すると一般建設業許可を受ける際に必要な「営業所ごとに配置する専任の技術者」および「建設工事における主任技術者」として認められます。
安全管理は事故防止のために重要
安全管理は事故防止のために重要なものです。
土木工事では重機の取り扱いや高所作業など、事故や労働災害が起こりやすい環境ですので、現場全体で安全管理を徹底する必要があります。
安全管理の担当者はこまめなコミュニケーションを取り、全体を把握して、現場の安全に努める必要があります。
また、現場に関わる人全員が安全に対して高い意識を持ち、職場の取り組みにも積極的に参加することが求められます。