土木工事の発注の流れは民間工事と公共工事で異なります。
これは発注者が民間業者と国や市町村とでは異なり、民間工事と公共工事ではその目的も異なるためです。
この記事では、土木工事の民間工事のそれぞれの発注の流れや土木工事の施工管理の仕事について解説します。
民間工事の発注の流れ
まずは民間土木工事の発注の流れからご紹介します。
民間土木工事は施主(発注者)が施工業者を探し、工事価格やプランの見積もりを数社検討したうえで1社を選択し契約するという流れです。
1.施工業者への問い合わせ・見積もり依頼
発注者が土木工事を依頼したい場合、まずは業者を探すところから始まります。
過去の実績や経験、得意な土木工事や技術などを見て、依頼したい土木工事業者をいくつか選定して問い合わせ、見積もり依頼をします。
このとき、比較検討のために5社程度に見積もり依頼をします。
2.土木工事業者による見積もり・プラン提出
業者が現地調査を行います。
現場の道路状況やライフライン、諸法令などさまざまな角度から調査を行います。
調査完了後、発注者の要望も踏まえてプランを立て、見積もりを作成します。
3.土木工事業者との打ち合わせ・調整
見積もりを出したあとも発注者と業者とで納得いくまでプランを練ります。
土木工事業者は実施計画のために現地測量、現地詳細調査、類似施工例視察、資料収集、法令調査などを行う必要があります。
調査内容をもとに、発注者と基本企画案をすり合わせ、工事の予算案も含めた実施計画を作り上げていきます。
4.契約・発注
発注者と業者との間で土木工事の内容と価格がまとまったら契約、発注となります。
土木工事業者は材料の発注などを行い、工事の準備に入っていきます。
工事の開始日が決まったら近隣に工事のお知らせのチラシをポストに入れたり、説明会を開催します。
公共工事の発注の流れ
次は公共工事の発注の流れです。
公共工事では、基本的に入札で依頼する業者を決定します。
入札に参加するためには建設業許可の取得など、いくつかの条件があります。
1.資格審査
まずは企業が入札の参加資格を満たしているかが審査されます。
審査項目は
①建設業の許可があるか
②経営事項審査を受けているか
③税金等の未納がないか
④欠格要件に該当しないか
です。
初めて入札に参加する企業は
・建設業許可の保有
・経営事項審査の受審
・入札参加資格審査の申請
が必要です。
入札参加資格審査申請は、地域・地区ごとに必要です。
応募頻度も地域によって、年1回、いつでも応募できる、など違いがありますので確認が必要です。
2.入札
入札参加企業は、発注者から共有された工事内容資料に基づき、工事条件や金額を提出します。
その結果、最も有利な条件を出した企業が落札します。
基本的には最も安い金額を提示した企業が選ばれ、工事によっては施工方法や安全性などを総合的に判断することもあります。
また、発注者側で最低落札価格を示していますので、入札企業は最低落札価格を下回らない金額を算出しなければ落札することができません。
3.契約・発注
受注者が入札を完了したら、発注者が落札する企業を決定します。
落札企業が決定したら契約・発注へと進みます。
施工する前に施工計画書の作成をします。
施工計画書を作成したあと、施工に移ります。
施工では工程管理、安全管理を徹底し、安全かつ効率的な施工を行うことが重要です。
土木工事をスムーズに進めるために必要な「施工管理」
土木工事の発注までの流れをご紹介しましたが、その後の施工をスムーズに進めるためには「施工管理」が重要となります。
施工管理には、原価管理、工程管理、品質管理、安全管理という四大管理と呼ばれる業務があります。
原価管理
原価管理は決められた予算の中で設定された品質の土木工事を完成させるよう管理する業務です。
現場での急な対応やアクシデントによる追加資材の発注などは都度シミュレーションし、予算内で工事を完了できるよう管理します。
工程管理
工程管理は作業の日程調節などを行い、土木工事を決められたスケジュールで完了できるよう管理する業務です。
あらかじめ作業の工程表を作成し、スケジュール通りに工事を終えるよう人員配置などを決定します。
作業員にも分かりやすいよう提示して、作業員全員で効率よく工事ができるようにしていきます。
品質管理
品質管理は仕様書に則って完成時の強度や品質を保つことです。
公共工事では定められた基準の品質をクリアすることが求められます。
仕様書や設計図書に指定された資材の品質、寸法など適合確認も品質管理の重要な仕事です。
安全管理
安全管理は作業現場で安全に作業を行うことができるよう、事故防止、安全確保を行うことです。
作業員はもちろん、近隣住民の安全確保も求められます。
法令に基づいた安全管理が重要です。
土木施工管理技士の仕事
土木工事では土木施工管理技士が必要不可欠です。
施工管理技士は国家資格の1つで、建築工事の施工管理を行う建築施工管理技士に対し、土木施工管理技士は土木工事の施工管理を行います。
土木施工管理技士の仕事とは
土木施工管理技士の仕事は橋や道路、トンネル、河川等、土木工事の施工計画を作成したり、現場での作業工程の管理、安全と品質・コストの管理などです。
つまり、土木の工事現場を監督するのが土木施工管理技士ですが、その他、役所への手続きや書類作成、周辺住民への説明なども施工管理技士の仕事となります。
土木施工管理技士が従事する現場
土木施工管理技士が主任技術者や監理技術者として従事する現場は
・河川工事
・道路工事
・橋梁工事
・海岸工事
・トンネル工事
・上下水道工事
・土地区画整理工事
・ダム工事
・空港建設工事
などの土木工事全般です。
都市部の再開発工事や近年多発している自然災害などの復旧工事などで、土木施工管理技士の人材としての需要はますます高まっています。
土木工事は施工管理で効率的に施工できる
土木工事や建築工事は民間工事と公共工事とで契約までの流れが異なります。
公共工事の場合、受注を希望する企業は入札から落札までの流れを把握し、入札参加資格の条件を満たしているか事前に確認しておくことが必要です。
また、土木工事を高い品質で効率よく進めるには施工管理が重要となります。
土木工事の施工管理に携わる人は資格を取得することで業務の幅が広がりますので、資格の取得を目指しておくと活躍の幅を広げることが可能です。