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擁壁工事は高低差のある宅地に必要な土木工事
擁壁工事は、段差や高低差のある立地において、
外部の斜面が崩れないようにする土木工事のことです。
主にコンクリートやブロックなどで擁壁を築き、外斜面を安定させることを目的とします。
擁壁工事は従来からの崖対策だけでなく、宅地造成の際に発生する盛土対策としても施工されます。
擁壁工事とは?
山の斜面などの宅地では、切り出した面に相当な圧力がかかります。
また、切り出した部分に建物等を建てると、谷側にも圧力がかかることになります。
切り出した部分は耐震性も低下し、水圧などの影響も受けやすくなるものです。
その為、切り出し部分が崩壊しないよう、斜面を強化する必要があります。
その為には、切り出した部分の土を留めることが重要になります。
即ち、土留めを目的とした壁上の構造物が「擁壁」と称されるものです。
擁壁は、高い圧力を受けても崩壊しないようにすることが肝心です。
擁壁の設置義務
擁壁は山の切り出し部分に設置されるだけでなく、
高低差が2メートル以上の宅地でも設置が義務付けられます。
設置範囲に関しては自治体によって異なるので、高低差のある宅地の造成には確認が必要です。
擁壁工事を検討する際には、当該地域の特徴を熟知した施工会社に相談するのが良いと言えます。
擁壁工事の申請から許可が下りるまでは、おおよそ1ヵ月程度かかるものです。
なので、宅地に建物を建てる際にははやめの取り組みが肝心になります。
擁壁工事には、コンクリート造やブロック積み、石積みなどの施工方法があります。
宅地の状況や予算に応じて、適した施工方法を選択することが大事です。
擁壁工事の種類は?
鉄筋コンクリート擁壁
昨今、一般住宅でも「コンクリート擁壁」の需要が増えています。
コンクリート擁壁は鉄筋コンクリートタイプと無筋コンクリートタイプに分かれます。
鉄筋コンクリート擁壁はRC擁壁とも称され、強度や見た目の美しさに優れているものです。
内部に鉄筋が埋め込まれており、耐震性や耐久性が高いのが大きな特徴です。
そのため、RC擁壁は垂直な壁に適しており、宅地面の広く利用できるのもメリットです。
コンクリート構造は見た目がスッキリしており、街中に溶け込みやすいデザインとなります。
RC擁壁は、構造的に様々な形状タイプがあります。
主なタイプは、逆T字型やL型、そして逆L字型です。
無筋コンクリート擁壁
無筋コンクリート擁壁は、主に重力式擁壁として施工されます。
重力式は擁壁自体の過重で、土圧に対抗する擁壁となります。
当擁壁は高低差が小さい場合や、地盤が比較的に安定している宅地に適用されるものです。
一方、山岳道路などの斜面に施工される無筋コンクリート擁壁は、もたれ式擁壁と呼ばれるタイプです。
擁壁の背面を砂利などで埋めて、斜面の崩壊を防ぎます。
擁壁には水抜きパイプを設置し、水圧を逃がすことが肝心です。
プレキャスト擁壁
RC擁壁には、現場打タイプとプレキャストタイプに大別できます。
前者はPC擁壁とも呼ばれ、工場で予め造られたものです。
PC擁壁は品質面が高いうえに、現場での施工の短縮化につながります。
L型など様々な形状に対応できるので、宅地の状況に対応しやすいのも魅力です。
PC擁壁は壁を薄くできるので、宅地を広く活用できるメリットもあります。
ちなみに、PC擁壁は現場打擁壁よりコストがかかるものです。
ただし、施工場所や範囲によっては、コストが低くなるケースも少なくありません。
現場打ち擁壁
擁壁の種類において、現場でのコンクリート打ちを要するタイプを現場打ち擁壁と呼んでいます。
PC擁壁と比べて施工期間が長くなり、壁自体も厚くなる傾向があります。
また、現場打ちは、現場の型枠大工や鉄筋工などの技量に影響されるので、品質的に安定しないのが特徴です。
それでも、当擁壁は大型重機が入れない場所でも施工できるので、道路が整備されていない郊外などに向いています。
何よりコストが低く抑えられるので、小規模な宅地や住宅などの擁壁施工に適していると言えます。
ブロック擁壁
宅地などで5メートルを超える高低差がある場合、ブロック擁壁で斜面を覆うことがあります。
その際には間知ブロックが用いられることが多く、「間知石」と呼ばれる材料が使われます。
「間知」の名前の由来は、ブロック6個で約1間(180センチ)になることです。
間知石内部は鉄筋などが入っており、コンクリートの強度が高められています。
また、表面的にも滑らかに仕上げられており、「化粧ブロック」と呼ばれることもあります。
積み上げられたブロックには、一定間隔で水抜き用のパイプが設けられるのが一般的です。
ちなみに、ブロック擁壁の組み方には、「布積み」と「矢羽積み」があります。
「急傾斜地崩壊危険区域」と「不適合擁壁」
高さ5メートル以上の崖は、各自治体により「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されます。
当区域に指定されたエリアの宅地に関しては、住宅建築に関して各自治体の許可が必要になります。
ちなみに、崖の崩落対策は自治体の担当となるので、
住居の施主が擁壁工事を実施する責任はありません。
また、古い擁壁の中には、現在の法律基準を満たさないものがあります。
これは「不適合擁壁」と呼ばれ、早急な補強工事が必要です。
不適合擁壁のほとんどは、昭和36年制定の「宅地造成等規制法」以前に施工されたものです。
ただし、同法以降に施工された擁壁であっても、老朽化により不適合擁壁となるケースがあります。
そのため、高低差のある宅地に住居を建てる際には、十分な注意が必要です。
擁壁の耐用年数は?擁壁の管理・メンテナンス
RC擁壁やブロック積み擁壁では、耐久寿命はおおよそ50年に設定されています。
コンクリート自体は経年劣化でも壊れませんが、一定期間でのメンテナンスが必要になるものです。
擁壁には水抜き用のパイプや穴が空いており、そこが詰まると土圧や水圧が高まる恐れがあるからです。
そのため、大雨の後には水が適切に抜けるかチェックすることが大事になります。
水の抜け方に異常が見つかれば、施工会社に連絡する必要があります。
仮に擁壁にヒビ割れなどが発生すると、補修費用に1平米あたり約2万円程度~約3万円程度かかります。
まとめ
高低差が2メートル以上の宅地では、自治体に擁壁工事を申請する必要があります。
古い擁壁の上に建物を建てる場合には、既存の擁壁が現行基準を満たしているか確認することが大事です。
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