土木工事は土石や鉄材などを使用して道路や橋梁、堤防、河川などを造る建設工事です。
土木工事の多くは、人々の生活を便利で安全に過ごしやすくするためのインフラ工事も多く、大規模な工事も多いため、関わるスタッフが基礎知識を持っていることはもちろん、入念な準備が必要な工事でもあります。
このページでは土木工事とはどのようなものか、土木工事の範囲、発注方法、施工など、土木工事の基礎知識を解説します。
建設業の役割に関する基礎知識
土木工事の基礎知識を解説する前に、まず、建設業について説明します。
社会資本の整備促進
社会資本の整備は、地域の経済活動への促進につながります。
交通網が整備されることにより物流が合理化され、土地基盤が整備されることにより過疎化の解消や企業の進出を助けます。
災害時の応急対応・復旧
日本は地震、台風、豪雨、豪雪など、災害が多く起こる地域です。
地震に強い建物や道路、土地を造り、被害を最小限に抑えることは建設業の大きな役割です。
また災害が発生した際には迅速に復旧工事を行い、いち早く人々の生活が復旧するよう支えます。
土木工事とは
土木工事は建設工事のうち、道路や橋、ダム、トンネルなどを造る工事を指します。
建設工事のうち建築工事は建物に関する工事を行いますが、土木工事は建物以外が施工範囲となります。
土木工事は「基礎工事」「造成工事」「外構工事」の大きく3つの種類に分けられます。
基礎工事
建物を建てる土地に基礎を造る工事です。
基礎は建物と土地をつなぐ重要な部分です。
土地の状態に合わせて適切な基礎を造ることが求められます。
造成工事
造成工事は石を積み盛り土を行い、土地を活用できるように加工する工事です。
外構工事
外構工事は造園工事、排水工事、舗装工事など、建物本体以外の外構物を造る工事です。
土木工事の範囲に関する基礎知識
交通
・道路工事
人や車両が通行するための道路を施工する工事です。
・鉄道工事
鉄道が走行するための線路を敷設する工事です。
・橋梁工事
橋を架ける工事です。
道路橋、鉄道橋、水道橋などがあります。
・トンネル工事
地中や水底に造られる地下構造物を施工します。
道路、鉄道、上下水道、地下街など幅広い用途があります。
・空港工事
航空機が離発着するための滑走路、駐機場など空港施設を造ります。
・港湾工事
貨物船や旅客船を接岸するための岸壁や、外洋からの波を防ぐ防波堤を造ります。
・河川工事
水害発生防止のために砂防や堤防などを施工します。
生活関連
・上下水道工事
飲用可能な水の供給施設を施工する上水道工事、雨水や汚水を地下水路などに集めたあと、公共用水域へ排除する施設を施工する下水道工事があります。
・共同溝工事
電気、水道、ガス、電話などのライフラインを道路の地下などに埋没するための設備を施工します。
エネルギー
・発電工事
発電所の発電装置と関連設備の施工を行います。
・電力通信工事
送電線など、電気を消費者に送電する送電設備を施工します。
国土保全
・ダム工事
一般的に貯水を目的として構築する高さ15m以上のものを指します。
主に準備工、転流工、基礎工、堤体工などがあります。
土木工事には官庁工事と民間工事がある
土木工事は発注方法により官庁工事と民間工事の2種類に分けられます。
官庁工事
官庁工事は税金を財源とした工事です。
人々が安全で安心して生活できるように、必要な建設物を作ります。
このような国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共設備には道路、河川、空港、港湾、緑地、公園、工業用地、上下水道などがあります。
これらは公共のインフラ施設であることから、民間事業としては成立しにくいのが現実です。
そのため、政府や地方公共団体が主体となって発注しています。
官庁工事は税金で行うため、工期や金額の適正度や品質チェックは民間工事に比べて厳格に行われ、検査の回数や記録の量が民間工事に比べ多い傾向があります。
民間工事
民間工事は企業や個人の資金を財源としている工事です。
主に住宅地や工場建設のための造成工事や基礎工事、電力会社の発電所を造る工事なども民間の土木工事です。
官庁工事比べてチェックは厳しくないものの、公共性の高いものも多いため厳しい管理がされています。
土木工事の施工の体制
土木工事には一式工事と専門工事があります。
一式工事
一式工事は原則として元請の立場で総合的な規格、指導、調整のもとに複数の専門工事を組み合わせて土木工作物、建築物を造る工事です。
単独専門工事では施工できない大規模な工事となります。
専門工事
専門工事は鳶工事、大工工事、鉄筋工事など、請け負える施工の種類ごとに分類された工事です。
専門工事は工事内容の専門性に着目して27種類に区分されています。
また、一式工事の建設業許可だけでは500万円以上の各専門工事を請け負うことはできません。
土木関連の資格
土木工事の資格は基礎知識を証明するものから施工管理に至るまでさまざまなものがあります。
ここでは、土木関連の資格のなかでも特に代表的なものをご紹介します。
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、土木工事の現場で管理・監督を行う能力・基礎知識を認定する国家資格です。
1級を取得すれば「専任技術者」「監理技術者」として活躍できます。
建設機械施工技士
建設現場で建設機械施工に関する基礎知識・運転操作や現場の施工管理を行う責任者を認定する国家資格です。
1級建設機械施工技士は各種建設機械を用いた施工において指導的・監督的業務を行います。
技術士
技術士は土木工事を含む各産業分野において基礎知識はもちろんのこと、技術コンサルタントとしての役割を果たせる最高レベルの知識と技術を持った人材であることを証明する資格です。
コンクリート診断士
ビルや住宅、河川の護岸工事や防波堤の建設など広く用いられるコンクリートは高い強度を誇りますが、一定期間を過ぎればメンテナンスが必要です。
このようなコンクリートの基礎知識を持ち、点検業務を行うために必要となるのがコンクリート診断士の資格です。
土木工事は人々の生活を支える工事
土木工事の基礎知識をご紹介しました。
土木工事の内容は広範囲にわたり、種類もさまざまです。
また、社会インフラの整備を目的とした工事も多く、大規模な工事が多いのも特徴です。
施工は十分な基礎知識と計画のもと、法律に沿って実施されています。