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土木工事の根切り・山留め・埋戻しとは?工法の種類と特徴

 

建築物には基礎が必要です。
基礎は地盤の下に造るため、地面を掘る土木工事が必要で、根切り、山留め、埋戻しなどの工事を行います。

 

この記事では根切り工事、山留工事、埋め戻し工事の内容や工法の種類について解説します。

 

土木工事の根切り工事とは

根切り(ねぎり)工事とは、建物の基礎や地下室などを造る際に、地盤面下を掘削して必要な空間を作る工事です。

 

根切り工事ではバックホウなどの土木工事の専用重機を使用し、工事の際には大量の残土が発生します。
広い土地では敷地内で残土処理を行うこともありますが、一般的には残土を別の場所に運んで処分する必要がありますのでその費用も発生します。

 

根切りは建物を建設するときだけでなく、解体するときにも行われます。
根切り工事を行うことで工事に適した空間ができ、解体工事でも重要です。

 

根切り工事の種類

根切り工事には布堀り、つぼ堀り、総堀りの3種類があります。

 

布堀り

布堀りは布基礎と基礎梁の位置のみを掘る根切り工事で、杭打ちのために行われる場合もあります。
特徴としては連続的に掘削するケースが多く、線状に細長く掘るのが一般的です。

 

つぼ堀り

つぼ堀りは、柱などの独立した基礎部分のみを掘削する工法で、独立基礎を採用する際に多く用いられます。
柱などの寸法を計測し、形状に合わせて掘削します。

 

総堀り

総堀りは全体的に掘る工法で、ベタ基礎の底板の下をすべて掘り返します。
そのため、「ベタ掘り」と呼ばれることもあります。

 

土木工事の山留め工事とは

山留工事は、土木工事で地下の基礎工事を行っているときに周辺の地盤や建物が崩れないよう、周辺の地面を固めたり支えを造る工事です。

 

地下工事を行う際には山留工事は必須となる土木工事で種類も多くあります。山留工事は土や水など自然によってつくられた不確定要素の多いものを取り扱うため、しっかりとした事前調査と施工計画が必要です。

 

地盤面に重機を設置して山留親杭を打ち込んだり山留壁を構築するため、山留壁を構築する際は地表面以下が目視できない状態で施工する場合も多くあります。

 

山留め壁の種類

山留め工事は重要な工事であり、費用と時間もかかるため、工法の種類が多く、現場の条件に最適な工法が選択されます。

 

親杭横矢板工法

山留め工事のなかでも一般的な工法で比較的コストが安く、小規模工事の山留めとして採用されることが多い工法です。

 

注意点は止水性がないため、地下水がない浅い掘削を行う土木工事で適しています。
また、軟弱地面には適していません。

 

シートパイル工法

両端に継手が付いた鋼板のシートパイルを使う山留め工事です。

 

固い地盤でも打ち込みが可能で、さらに引き抜き回収ができるので、何回も反復使用が可能です。
また、継手が結び付くことで、ある程度の止水も可能です。

 

この工法はシートパイルを打ち込むだけで完了しますが、高い技術力を要します。

 

地中連続壁工法

SMW工法とも呼ばれる工法で、掘削壁面に安定液を使って崩落を防ぎながら地中に壁を作っていく工法です。

 

掘削面が頑丈になるため、重機でどんどん堀り進めていくことが可能です。
安全性が高い一方で、山留めをつくるのに費用と時間がかかります。

 

グランドアンカー工法

地中に土留壁を打ち、掘削外周にグランドアンカーを設けて引き抜き抵抗を持たせ、安定させる工法で、斜面安定の目的などに使用されます。

 

支保工が不要で施工能率が高い一方で、アースアンカーを設置する必要があるためスペースに限りがあります。

 

水平切梁工法

水平切梁は山留め壁オープンカット工法で広く採用されている工法です。
山留め壁に作用する側圧を、切梁、腹起、火打ちなどの鋼製山留支保工で指示します。

 

地盤条件や根切り深さ、敷地面積にあまり制限されないため、信頼性の高い工法です。

 

鋼管矢板工法

鋼管矢板は、鋼管杭に継手を設置したもので、剛性の大きな壁体を構築できます。

 

大きな径の鋼管を打ち込んで山留め壁とすることで、大きな支持率と曲げ剛性が得られ、矢板としてだけでなく、基礎としても使用できます。

 

外径や鋼管の厚みを自由に選択できるため設計の自由度も高く、継ぎ部分にモルタルを注入すれば止水性を高められます。

 

アイランド工法

中央部に先行して構造物を造り、そこから切梁を斜めに伸ばして山留め壁を支えながら、周辺の地盤を掘削し、残りの躯体を作ります。

広くて浅い掘削工事に有利な工法で、安全性とコスト面から多く採用されています。

 

土木工事の埋戻し工事とは

埋戻しとは、地下工事や基礎工事が終了したあと、掘削した土砂をもとに戻す土木工事です。

埋戻しをする際には、掘削した土をそのまま使用することもありますが、埋戻し用に購入した土などを使用して行う場合もあります。

 

埋戻しを行ったあとの土壌は強度の弱い地盤になってしまうため、土を固めるための締固めを行う必要があります。
締固めが十分に行われていないと、地震が起こった際に液状化する可能性もあるため、しっかりと締固めを行います。

 

埋戻し工法の種類

埋戻しの工法には水締め、締固め、余盛の3種類があります。

 

水締め

水を撒きながら砂や土を埋めていく方法です。
浸透性の良い砂などを使用する際に使います。

 

建物の周囲部分の埋戻しには機械を使用して締固めを行うことが困難である場合が多いため、地盤沈下防止の観点から水締めが行われることが多くあります。

 

締固め

ローラーやランマーなどの機械を使用して締固めを行います。

 

300mm程度ごとに上から圧力をかけながら締め固めていきます。
浸透性の低い砂や粘土質の土を埋め戻すときに採用される工法です。

 

余盛

水締め、締固めどちらでも埋め戻した土や砂は時間経過とともに収縮し、埋戻しした部分の沈下が発生します。
そのため、余盛と呼ばれる、あらかじめ余分に埋戻しを行います。

 

使用する土や砂によって沈下する幅は変わりますが、水締めでは50~100mm程度、粘土質の土の締固めでは100~150mmを目安に余盛を行います。

 

土地の条件に合わせて適切な工法を選択する

土木工事の根切り工事、山留め工事、埋戻し工事について解説しました。
それぞれの工事では、土地の条件に合わせて適切な工法を選択し、現場によっては複数の工法を組み合わせる場合もあります。

 

建物の強度を保つための重要な工程ですので、入念な事前調査と施工計画が求められます。