ー多様な土木工事の世界！あまり知られていない種類の工事を探るー

土木工事と聞くと、多くの人が道路建設やアスファルト舗装、公共の下水道工事や水道工事など、日常でよく見かけるタイプの工事を思い浮かべることでしょう。

しかし、知名度は低いものの、さまざまな種類の土木工事が存在しています。

この記事では、あまり知られていない土木工事の種類について、くわしくご紹介します。

 

さまざまな種類の土木工事

土木工事とは、建築工事を除いたすべての建設工事をいいます。おもに、木材や土石を使ってインフラを整備する作業や、それらの修繕を行う工事です。

土木工事は施工が多岐にわたり、数え切れないほどの種類が存在します。そのような土木工事の種類は、大きく分けると以下の3つの工事です。

 

・基礎工事
・造成工事
・外構工事

 

それぞれどのような工事なのか、くわしく見ていきましょう。

 

1.基礎工事：建物の土台を作る工事

基礎工事は、地盤を補強してコンクリートで固める土木工事です。 おもに、建物の土台となる基礎部分を形成する工事のことをいいます。

 

2.造成工事：土地を整備する工事

造成工事は、建築の準備として土留めや石積みを使って土地の高低差を調整し、地形を整え、地盤を強化する工事です。

この種類の土木工事によって、建物の建設やダムなどのインフラ構造物が建築できます。

具体的には、地盤が軟弱な土地には盛土を施し、地形が不均一な場所では土地を削減または盛り上げて、高低差を調整しながら工事を進めます。

 

3.外構工事：先行工事と仕上げ工事の区分

外構工事には、塗装工事や排水工事、造園工事などが含まれます。これらは建物以外の構造物に関わる工事です。

特に、外構工事は先行工事と仕上げ外構工事の二つに分かれます。

先行工事では、基礎を築く前に土留めやその他の構造物を建設して土砂の流出を防ぐ工事が行われます。一方、仕上げ外構工事は建築物の完成後に行われ、構造物の装飾や付属物の追加、住宅では車庫の建設などが含まれます。

 

多様な土木工事の紹介

一般的には土木工事とは、基礎と造成、外構の3種類に分けられますが、実際にはこれらの工事が複合した形で行われたり、単純に分類できない工事も存在します。

多様な土木工事には、次のような工事があります。

 

・基礎・仮設工事：地盤を強化したり、杭打ちを行う工事
・鉄道工事：レールを敷設したり、レールの下の道床（砂利部分）を整備する工事
・上下水道工事：水道管を敷設したり、関連施設を整備する工事
・トンネル工事：トンネルの建設工事
・ダム工事：ダムを建設または修繕する工事
・橋梁工事：橋を建設する工事
・河川工事：河川を修復したり、護岸を整備する工事
・砂防工事：山からの土砂流出を防ぐ工事
・道路工事：道路を建設したり、舗装や修繕を行う工事

 

これらの工事は一般的によく知られている工事です。 次に、土木工事の中でもやや知名度が低い工事について、見ていきましょう。

 

・海洋土木工事
・発電土木工事
・農業土木工事
・法面工事（斜面を整備する工事）

 

これらは日常的に目にすることは少ないが、重要な土木工事です。

土木工事であまり知られていない種類と分野

土木工事の中でも一般にはあまり知られていない、4つの工事について、くわしく紹介します。

 

1.海洋土木工事：海岸線の保護を目的とした工事

海洋土木工事は、海岸線の保全と保護を目的として行われる土木工事です。以下は、海岸保全施設に含まれる主な構造物です。

 

・堤防：盛土やコンクリートを使用して作られる土手のような構造物。
・突堤：ほぼ垂直に海岸から突出する形の堤防。
・護岸：波から岸辺を保護するための構造物で、石積みやブロックの設置が行われる。
・胸壁：構造物の先端に設置される手すりのような壁。
・離岸堤：浸食を防ぐために海岸から離れた場所に建設される堤防。
・砂浜：人工的に作られる砂浜で、海岸の防御を強化する。
・消波工：堤防の前に設置され、波の力を減少させる構造物。

 

これらの建造物によって、海岸の安全と持続可能な利用を目指しているのが、海洋土木工事です。

 

2.発電土木工事：電気工事と連携する施工

発電土木工事は発電所や送電設備で行う土木工事で、発電所の基礎建設、敷地の平整化、道路の建設、電線や各種配管の設置などが含まれます。また、送電線の支柱の設置や地形の整備も発電土木工事の施工によるものです。

発電所には電気や機械などの精密な設備が多いため、土木工事を行う際は電気工事の職人と緊密に協力して進めなければなりません。

 

3.農業土木工事：農業環境の整備に特化した工事

農業土木工事は、土地改良を目的とした、以下のような工事です。

 

・灌漑工事：ダムや地下水施設、水路、水管理施設の建設
・排水路および水門の設置 ・圃場工事：農地として利用するための田や畑を整備
・農地防災工事：ため池の補修や洪水、津波対策に関する工事
・環境整備：集落周辺の排水システムや自然環境の再整備、公園の建設など

 

これらの工事は、農業活動を支え、効率的に行うためのものといえるでしょう。

 

4.法面工事：斜面の安定化を目的とした土木工事

法面工事は、山や高台の斜面を造成し、その強度を向上させる土木工事です。代表的な工事には、以下のようなものがあります。

 

・法面排水工：地表水や浸透水を効率よく排水し、斜面の崩壊や土砂崩れを防止する工事。
・構造物工：モルタル、コンクリート、板柵、かごなどを用いて斜面の強度を増す工事。グランドアンカーを使用してアンカーを打ち込む方法も含まれます。
・植生工：植物の種子を播種し、植物の根が土と結びつき水分を吸収することで斜面の安定化を図る工事。

 

これらの工事は、斜面の安全を確保し、崩落した斜面の修復にも対応しています。

 

まとめ

土木工事は、社会基盤を支えるためにほかの産業と密接に関連している、必要不可欠な工事です。

一般にはあまり知られていない海洋土木工事や発電土木工事、農業土木工事や法面工事にについて、わかりやすくご紹介しました。

ここで紹介した工事は、すべて重要な土木工事の種類であり、それぞれのニーズに合わせて施工が行われています。それぞれの種類の土木工事がどのような工事なのかを知ると、土木分野への関心が深まることでしょう。